• 2020年1月末、低分化型腺癌で、既に手遅れの告知を受け、余命1年程度で、何を「虎が死んで残すという皮」の替わりとすべきかと考えた。

  • 以前より、何方かが、Wikipedia のドイツ連邦共和国基本法および戦う民主主義の中で小サイトへのリンクを貼って頂いていることを思い出した。

  • 思えば、20年以上も前の対訳のまま死んで逝くわけにはいかない。この間の基本法改正を、反映させて、私の生きた証としたいと考えた。

  • 小生亡き後、遺族がプロバイダー料金を払わなくなっても、恒久的サイト中に移されて、管理いただければ幸いです。

  • 本サイトを、3か国語対訳とした理由は、

    1. 安倍内閣の首相は勿論、閣僚、官僚、取り巻き言論人に代表されるように、地方政治でも、権力に近い人間は詭弁を能くする。日本語だけの翻訳だけでは、形容詞や副詞がとんでもない解釈に利用されかねない。原文や英文を伴うことで、翻訳和文の一人歩きを防止したい。

    2. 個別条文、各章ごとにURLが付されているため、必要な条文や章にリンクして、議論や説明ができる。と考えた次第である。大いに利用いただければ幸いです。

  • 今改定作業で、最も参考としたのは、初宿正典 訳(信山社『ドイツ連邦共和国基本法』2018年第1版)で、特に、62回までの改正経過一覧表は、小生のようなアマチュアにとって、何条に手を加えるべきかを知る上で、大変に助かった。制定当初からの文言の変遷も知れて、是非、座右の書として推奨したい一冊です。

  • Schuldenbremse(=債務制限)関連改正については、国会図書館の「ドイツの第二次連邦制改革(連邦と州の財政関係)(1) 」、「ドイツの第二次連邦制改革(連邦と州の財政関係)(2) 」をも参考にした。

  • 前回同様、ドイツ連邦法務省サイト内からPDF版の原文英文をダウンロードして、前回分との照合に利用したのは勿論のことです。(世界中、どこの行政機関でもそうだが、キャッシュメモリー対策なのか、ファイルのURLが目まぐるしく変わるので、リンクが切れるかも知れない)

  • 第125b条を原文であたると、第2項が更に変更されて、第3項が追加されていた。英訳の方には、まだ、この変更は、反映されていなかった。
  • 以下は、前回編集時(1999年10月31日)のものより

  • 地方分権・財政権・議会解散と建設的不信任・「戦う民主主義」を確固とする司法等々、第二次世界大戦の敗戦により戦勝国の監視下で作られたもう一つの憲法典であるドイツ基本法は「この国のかたち」を考え直す上で欠かすことのできない参考例と思われる。
    (ドイツ基本法の制定は直接軍政統治の米英仏にベネルックスを加えた6カ国監視の下に行われたと言えよう)

  • 一部の専門学部関係者だけでなく、インターネットのリンクなどを通じて、広く手軽にこの憲法典を参照し日本国憲法と比較できるようにすることは、戦後ドイツの政治システムに関心をもってきた者の使命ではないだろうか。決して一部の人間のアクセサリーであってはならない。

  • この基本法が他の諸法律ともども、このような私的なサイトではなく、ドイツ連邦政府により公式日本語訳がなされ、公的にインターネットで配信されることを願うものである。

  • HTMLの構成はザールブリュッケン大学にかつてあった独仏対訳版にならった。公式英訳を加えた3カ国語対訳としたため、左右対訳から上下の対訳とした。

  • 日本語訳については西  修 訳(成文堂『世界の憲法-正文と解説-』1971年初版)


    初宿正典 訳(三省堂『解説・世界憲法集』1994年第三版)
    永田秀樹 訳(有信堂高文社『世界の憲法集』1998年第二版) を参照し永田訳をベースとした。

  • 日本語では「州」または「邦」と訳している Land あるいは複数形の Länder であるが公式英訳でも公式仏訳でも原語のままなので、「ラント」あるいは「諸ラント」としておいた。

  • Bundesgesetz は参照訳の多くで「連邦法律」とされてあるのを「連邦法」とした。

  • 参考にした訳文には、先達が中央集権的な雰囲気の中で訳したものを踏襲したものではないか、と思われる「国防」などの訳語が散見せられるが、原文で「国」という概念とは直接的には結びつかないと思われるものの訳語からは「国」の字をはずした。日本人の意識での「国」の対語には基本法では「連邦」が用いられているように思われる。
    (例:連邦国旗→連邦旗、連邦国防大臣→連邦防衛大臣。その他 verteidig や wehr などを含む単語など)

  • 取りあえず「国民」と訳されている Volk であるが、公式英訳では people と nation の2訳があり、逐次 people からは「国」の字を除いていくべきかと思う。

2020/3/18 中川 恒雄